2000年4月25日(火)13:02

経済界はEUの東方拡大に慎重

ベルリン(ロイター)

 ドイツの経済界では、東欧諸国のEU早期加盟に反対する声が高まっている。政府の諮問機関の委員長ユルゲン・ドンゲスは火曜日にロイター通信に対して、政治的な配慮より加盟基準の厳格な遵守が優先されねばならない、と語った。ドイツ商工会議(DIHT)はポーランドの2005年以前の加盟は非現実的と考えている。ゲルハルト・シュレーダー首相(社民党)は今週のポーランド訪問において加盟期日を明言することはないと予想される。ポーランド自身は2003年までに加盟する意向を示してある。

 いわゆる「経済五賢人」の長であるドンゲスはさらに、加盟期日を明確に定めることに対して警告した。「加盟基準の実行がまず保障されねばならない。その後も加盟基準が達成されなければ、これを大目に見てはならない」とドンゲスは述べた。さらにユーロ導入の基準が定められたマーストリヒト条約の誤りについて触れ、「当時はいろいろ目をつぶって見過ごしたこともあった」と語った。ドンゲスはポーランドについてはとりわけ農業に大きな問題があると考えている。「この点でEUは決してポーランドの加盟を可能にするために農業予算を増額してはならない、さもないと財政的に破綻する」と述べた。

 ドンゲスは、過去の加盟の際に採られた過渡的解決策は東欧諸国には難しいと考える。自由な域内市場と開かれた国境のため、たとえば農業生産物の取引に関して特別な規則を取り決めることは不可能になったという。ポーランド、ハンガリーおよびチェコの加盟はドンゲスによれば、「延期」こそすべきではないものの、明確に加盟年を定めることは瑣末事であるという。「五賢人」の長は「EUはその宿題を済ませねばならない」と強調。「すでにこの段階で共同体はその能力の限界に突き当たっている」と語った。

 EUは2002年末までに、新規加盟国の「受け入れ準備を完了」することを目標にしている。議論の焦点は、将来それぞれの国が独自に欧州委員会委員を一名送るかどうかという点と、拡大した欧州連合の閣僚理事会における決定を全会一致とするかどうかという問題である。

 ドイツ商工会議も「ヨーロッパ2000プラス」という報告書においてEU内の諸問題に触れている。しかしひとつの解決案の中で、ポーランドは早ければ2005年の加盟が、またハンガリーとスロヴェニアは2004年、チェコは2006年の加盟が可能であるとしている。だがその前にポーランドは180以上の法律をヨーロッパの共同体の法律に合わせねばならず、さらにその法律を行政規則に書きかえるためには2003年という期日はかなり切迫している、と述べている。この2003年という数字はポーランドが自ら繰り返し加盟期限として挙げている年である。

 EU拡大委員長ギュンター・フェアホイゲンのスポークスマンはブリュッセルで、ドイツ商工会議の報告書を「拡大をめぐる議論に関する興味深い論文」と評し、「候補国は加盟以前にEUの加盟基準を達成しなくてはならない」と付け加えた。EUは今のところ、明確な受け入れ期日を伴うタイムスケジュールを示そうとしていない。

 それゆえシュレーダー首相も、政府スポークスマンによれば、ポーランド訪問において明確な加盟期限を示すことはないという観測である。首相は木曜日にドイツ・ポーランドの交流1000年祭に出席するためポーランドを訪れる予定である。

   これと反対にドイツ経済研究所(DIW)は、加盟候補国の改革を一層督励するためにも加盟スケジュールの提示を求めている。ドイツ経済研究所ヨーロッパ担当官のヘルベルト・ブリュックナーは「たとえばポーランドは経済的に見ればすでにEUに加盟できる」と述べている。ブリュックナーは、国内法をEU法に適合させるのにしばらく時間がかかることを認めたものの、「ポーランドはこの点に関し、順調に進んでいる」と語った。同担当官はまた、以前に加盟した他の国々も加盟基準を「100パーセント」達成したわけではないことを指摘し、「ドイツ商工会議が嘆く鉄鋼産業とサービス業における遅々たる民営化の歩みは、加盟を妨げる基準とはならない。民営化はEUの求める要求には含まれていない」と述べた。

原題: Wirtschaft zurueckhaltend bei EU-Osterweiterung